痴漢事件
迷惑行為防止条例違反と強制わいせつの違い
痴漢事件は,大きく分けて迷惑行為防止条例違反と強制わいせつの2つの種類があります。
強制わいせつ事件の刑事罰は,「6月以上10年以下の懲役」です。
一方,条例違反事件については,茨城県においては,現在「6カ月以下の懲役,50万円以下の罰金」,常習になると「1年以下の懲役,100万円以下の罰金」と定められています。
両罪の違いは,行為態様にあり,「卑猥な行為」が行われた場合は迷惑行為防止条例違反,「暴行脅迫を用いたわいせつ行為」が行われた場合は強制わいせつ罪になります。
強制わいせつ罪の「暴行」の定義はとても広く解釈されており,例えば下着の中まで触れたような場合は,下着の中に手を入れること自体を暴行とみて強制わいせつ罪とみなされる場合が多いです。
痴漢事件の特徴
痴漢事件にはいくつかの特徴があります。
1つ目の特徴は,これまで犯罪とは全く無縁だった人が被疑者になることが多いという点です。ときには,ちょっとした勘違いによって痴漢と誤解され,逮捕されることがあります。
2つ目の特徴は,嘘の自白をする危険性が極めて大きいということです。痴漢事件で逮捕・勾留され,留置場で身体を拘束されると,とにかく早く釈放されたいと思ってしまい,実際は不当な濡れ衣であっても,嘘の自白をする人が後を絶ちません。
3つ目の特徴は,痴漢事件は多くの場合,被害者といわれる女性の証言が唯一の証拠となる場合も少なくないということです。しかし,混雑した状況の中では,たまたま物が当たった場合も考えられ,痴漢の犯人であると断定することが難しい場合もあります。したがって,事実関係については,慎重な弁護活動が必要となります。